読んだ洋書の棚

Taka's bookshelf: read


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コブレンツ写真(Nikon D300)

実験的にですが、昨日天気が午前中はよかったこともあり、自転車と一緒にボンの隣町のコブレンツへと足を運んできました。列車で40分ほどのところです。自転車をどこに運び入れるのがいくまでわかりませんでしたが、一番前の車両、ということがわかったのでこれからまた近場であればこうやっていけるかな、と思ってます。

でも自転車と一眼レフ、というコンビネーションははなかなか難しいかもと感じたところはあります。第一自転車の進むスピードが速すぎて、あ、ここきれい、とおもっても結局諦めたり、あとは両手が自転車の運転で塞がれているので、いざぱっと写真を撮ろうと思っても一旦停止してから背中からまわして来て・・・という作業が入り、どうしても結構億劫になってしまいます。ねりねりと歩いてゆっくりといろいろ見ながら撮る、というほうがやっぱり合っているな、と感じた次第です。

ま、もちろん移動範囲は圧倒的に広がるので、まぁ拠点を決めて駐輪してから、と、計画的に使えばかなり便利であることは確かですが。


ハーグ・アムステルダム写真(Nikon D300)

写真のアップですが、LightroomでRaw写真の現像をする、という、時間はかかるけど楽しい作業はもう1年近くぶりとなります。バンコクで赤ちゃんが生まれてからは当然のように仕事終わりも忙しく、こういう作業をする時間もありませんでしたが、ドイツに来てからはさびしくも単身赴任となりましたので、先日ボンにいるバンコク時代からの友人と週末だけオランダのハーグ、そしてアムステルダムへといってきて撮って来た写真の現像です。

ひさびさにRawファイルの現像をしましたが、(まぁどこまでが"写真"でどこまでがいわゆる"芸術作品"なのかの境界線の議論はあるところですが)個人的にはこういういろんな側面から写真を”現像”してみて、その一枚一枚の写真のもっている顔を際立たせて行く、という作業は楽しいですね。

あと欧州の街はやっぱり”絵”になるな、と感じました。なんででしょうね、単なる偏見(!)か、もしくはひょっとして欧州の街は比較的大きくて、長い、”直線”が多いから、かもしれない、といまふと思いました。

アジアの所謂雑多とした感じはそれはそれでいいのですが、引いたアングルでの街の写真はどうも構図的に落ち着かないなぁ、という雑然とした印象を持っていたのですが、考えてみると小さくて、短い”曲線”が入り乱れているのがその遠因なのかもしれません。僕が広角を主に使うので、となると長い直線、といういうのは風景であれ街であれ、かなり大きな要素ではないか、といま直感的に思いました。

と、写真のことはそうとしても、アムステルダムには初めて(物心ついてから)行ったのですが、そのあまりのニューヨーク市(の古い区画。ウォール街とかの南のあたり?)との酷似さに本当にびっくりしました。ニューヨークが昔ニューアムステルダム、と呼ばれていたということや、オランダの大きな影響を受けている、とは知っていたのですが、まさか本当に(まぁ当然と言えば当然なのでしょうが)ここまで”似ている”とは思いませんでした。同市の中心地の建物や教会の形、デザイン、レンガの古さや色などなどが、NYのもつ雰囲気とまったく一緒で、始めはかなり戸惑いました。それくらいに似ていたのでびっくり。 街を歩いていてもふっと、そういうNYの空気感が感じられたのでそれも非常に新鮮でした。

珍しくも(久しぶりだったのもあるのでしょうか?)そこまで全体の枚数は取っていないのですが、30枚以上、セレクションに残りましたので、以下、ずらっと載せてみました。Nikon D300、相変わらず調子がいいです。故障ばかりが目立ったCanonの40Dから乗り換えて個人的には大正解でした。

(写真のスライドショーのリンクは最後にあります。レンズはすべて広角のAF-S DX NIKKOR 10-24mm F3.5-4.5G EDです。)

読んだ本ラッシュ

物乞う仏陀 ★4
以前読んで気に入った石井光太氏のデビュー作です。かなり有名なので読まれた方も多いのではないでしょうか。絶対貧困の時もそうでしたが、一般的に「可哀想」と思われている状況にいる人々の生活に自身がはいり、彼の視点で(ちょっと筆が走りすぎている部分はないことはないのですが)第三者の目ではなく、当事者により近い第二者の視点から見ているところが非常に新鮮で、より考えさせられます。でもアジア各国を行っている著者ですので、基本的に現地の言葉は解さず、簡単な英語を解する仲介人を経た情報がそのほとんどでしょうし、それを考えるとすこしメロドラマ化された描かれ方がされているのでは、と感じるところは多々ありました。でもそれを差し引いても面白い。お金持ち国家の住民が、いかに罪悪感を感じなければならないかという原罪的、ドグマ的な基本スタンスがないのでそれも非常に新鮮です。おすすめ。



もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら ★3
日本に一時帰国していたときになんか人気ということで手に取った本。うん、面白い書き方、試み、という感想。ドラッカーの本は読んだことがないので一度彼の本も(長いので)じっくりと読む日がくるのか?と感じた次第。まぁ軽い本。


A Problem from Hell ★2
以前に紹介した、かなりヒットだったChasing the Flameの著者のSamantha Powerのデビュー作?ですが、これは残念でした。いかにアメリカが世界における「大量虐殺」を横目に見、介入出来る政治力そして軍事力がありながらも(最終的に)我関せずの政策決定をしてきたのか、ということが滔々と書かれた作品。始めからあまりの著者の「全宇宙アメリカ中心主義」の思想が臭いくらいに表に出されており、自国に直接的に関係ないことに対して、政治的、財政的、国の安全保障に甚大なリスクを負ってまで介入する国が一般論的に非常に希有であるという初歩的な事実が完全に無視されてて書かれています。にも関わらず、その「大量虐殺」に対して(そのような国の絶対的性質を超えたレベルで)アメリカという世界に置けるスーパーパワー、「世界の警察」が稼働されるべきだ、という彼女の論にはちょっと(昨今のアメリカの軍事以外の弱まりを鑑みると)古くさささえ覚えました。でもちょっとChasing the Flameの印象が強すぎたのが原因かもしれません。

The Shark and the Goldfish: Positive Ways to Thrive During Waves of Change ★2
自己啓発本。引き寄せの法則等等、いろいろと読んで来てますが、彼の本はどうもまだまだ「敵」「悪」という存在を全面的に自分から切り離してその存在を認めているためにその悪をこてんぱんにやっつける、ようなアメリカンヒーロー的な雰囲気がかなり出されていました。一瞬の心のブーストアップを得るにはいいのでしょうが、つまるところこのような「敵」も、「コントロール出来ない悲劇」も「悪」もすべては自分の内部の投影にすぎず、「内」も「外」もつまるところ存在せず、その二つを行き来する流れそのものが自分である、という論を展開していません。・・・が、「自分とそれ以外の対立」という構図から始まっているので非常に力強いフレーズ、言い回しが多く、それは良かったと思います。


Africa Rising ★4
これはさくさく読めて面白いです。いかにアフリカ大陸がこれからのビジネスのキーとなって行くのか、どのような潜在性がアフリカの市場にあるのか、ということが沢山のケース、企業の紹介とともに描かれています。アフリカと言えば難民、紛争、虐殺、貧困、エイズ、ダイヤや石油、負の遺産などなど・・・そのすべてがマイナスのイメージが闊歩していますが、この本はそうした面ではなく、アフリカの明るいところ、エネルギッシュな部分をふんだんに紹介した本です。ただ一つ残念なところはそれぞれの個々の企業、マーケティングのケースは面白いのですが、それが全体からみてどうなのか、というマクロ的な分析がまったくなかったのはちょっと残念でした。とある企業はものすごく成功している、というだけではなく、この企業のこの成功はこの国に置いて何%のGDPの成長に寄与している、とか、実際にこの企業のビジネスモデルを適応してここまでの経済効果をアフリカ全体で引き起こしている、という像が提供されてませんでしたので、また彼の次回作に期待します。


Carbon War ★4
これは結構読み応えがありました。何十年も石油産業に関わって来た鉱物・地質学者の著者が転職先に選んだのがGreenpeaceで、この本は今まで石油産業のど真ん中にいた著者がどのようにして気候変動・地球温暖化という、その当時では国際的にもまったく重要ではなかったトピックをどのようにして国際的な動きにしていったのか、そしてオイル産業のロビイストグループとの駆け引きなどが克明に描かれています。2001年のペーパーバックなのでかなり古い時期の話となりますが、気候変動というトピックの国際的なうねりがまさに出てきた頃の話なので非常に面白いです。この分野に興味のある人はおすすめ。


The Energy Bus ★2
上記のGoldfish and Sharkの著者のもう一冊。うーん、力は入る内容、書き方なので(繰り返しますが)心のブーストアップ、勢いが必要な人にはいいと思います。


稀少資源のポリティクス—タイ農村にみる開発と環境のはざま ★5
日本のアカデミアという世界をあまりに知らなさすぎるのでなんとも言えないのですが、この著者の佐藤仁という人ほどに研ぎすまされた、常人では考えられないようなものすごいフレームでものを見られる日本人学者は初めてお目にかかりました。常人では見過ごしてしまうようなことを考え通し、見事なフレームを取り出し、それをフィールドレベルでデータを集め立証して行き、このフレームの有用性を立証して行く、ということをタイに置ける保護公園を取り巻くアクターを題材に進められた本です。

彼の本を読んでいると、本当に、本当に考え込んで書いている文章、ということがずっしりと感じられます。考え抜かれた一文一文が本当にちりばめられた一冊です。これが彼の博士論文がベースになっているということもまた彼の怪物さが実感出来る事実でもあります。ストイックにひたすら自分を見つめて追いつめているイチローのような印象を彼の本を読んで感じました。いや、彼はすごい。


グーグル革命の衝撃 ★1
NHKスペシャルの本ということで買いましたが、駄作。たんなる取材のまとめ。グーグルについての本当のすごさの分析は梅田望夫氏の「ウェブ進化論」の方が論をまたずにお勧め。(梅田氏の本はちょっと以前のブログで言及してます。ここここです)。

到着

約二週間前に無事にボンに着きました。働き出してからの六年間はずっとアジアにいた事もあり、着いた直後は冗談ではなく本当になんか違う惑星に来たような印象をうけました・・・。印象をつらつら書くと:

■ まず町が静かすぎて、良く疲れたときに聞こえるキーンという耳鳴りがずっと止まりません。

■ 色んな交通機関が発達しているのはいいのですがそのせい?でシステムを活用するはずの個人が逆にシステムに振り回されている印象を持ちました。ジャカルタやバンコクではタクシーで、安くどこでも行けますが、ここではもちろん高いので列車となりますが、またこれが分かりにくくシステムを理解してないとまぁシステム内部の移動が大変ですね。使う側ではなく、システムに使われている感じがしました。

■ 新鮮に感じた事はここドイツ(というか欧州?)、やたらと歩きますね。街中、階段、公共交通機関・・・、まぁ歩いて歩きますので疲れます。ジャカルタやバンコクではそう歩く事もないので気にもしてませんでしたが二三時間も歩くとお恥ずかしながら体力がなくなり、筋肉痛になります。まぁ日々の運動不足がたたっただけの事かも知れませんが、常に自分の足で稼ぐことがかなりまだ新鮮に感じられます。つい3日前に中古の自転車を購入したのですがここでも使ってない筋肉を酷使(といっても合計40分くらい)速攻筋肉痛。歩く、自転車にのる、階段を上る…、全くたいしたことでもないだろう、と考えてましたがこれ、今までアジアでかまけていた人間にはなかなかいい運動となってます。

■ 気候はボンは結構北に位置しているためか、かなりもう寒くなって来てます。欧州名物?のしびしび雨、曇り空は連日続いてますが、晴れると本当に清々しく、気持ちがいいですね。圧倒的に緑が多い街なので、そこも気に入ってます。

■ あとスーパーでの食料品がたまげるくらいに安い。バンコクと比べるとチーズなんて十分の一の値段ですし肉類もそれ位に安く、自炊をするとかなり安くつきそうです。そういうところはやっはりEU圏の農業保護政策の賜物、そして恩恵にあずかれている感じです。

異動のご報告

二ヶ月の沈黙となってます・・・。いかがお過ごしですか?こっちはいろいろと公私共に動きがあり、ニューヨークにいたり日本にいたりとあわただしく飛び回っておりました。仕事に関してのニュースを簡潔にお伝えすると、この8月の第一週をもって2年半いたバンコクでの勤務を終え、8月後半から新天地のボン(ドイツ)へと異動と相成りました。私が入っている4年間のキャリアプログラムの一環で2年間の仕事を二回する、というルールに沿った形での異動となります。

することはなにか、ということですが、気候変動をやってきているのであそこか、と思われるかもしれませんが、そうではありません。え、気候変動でそこですか?という機関ですが、気候変動に特化したポストが新たにできた(まぁ要は新たに作ってもらった)ことが理由です。まぁかなりいろいろできるか、まったく出来ないかのどっちかでしょう。

・・・という未知の仕事の面はともかく、8ヶ月の娘がいる父親・家族としては願ってもない赴任地、となりますし、着いてから少しして始まる就職活動なども含めて、楽しめれば、と思います。

ドイツは10年近く前に南の町、フライブルクにてアメリカの学部時代に一年間の交換留学をしたことがありますので、お恥ずかしい限りのレベルのタイ語と比べて、格段に親近感のある言語の国、となりますのでその点は喜んでます。かなり忘れているとはいえ、昔かなり詰め込んだ知識ですから・・・。

ということで8月からはもっとあわただしくなりますが、またお暇な時にこのブログを見ていただければ、と思います。