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Chasing the Flame: One Man's Fight to Save the World



Chasing the Flame (Samantha Power) ★★★★★

これもう一年近く前に読んだ本です。知人の方からの紹介で手に取った本なのですが、これはすばらしい本です。本当によかったのでしっかりとした感想を書きたいと思っていたのですが、結局書けずじまいでここまできましたので、もう以下の手抜き感想と結局は相成ります。

これは次期国連事務総長と、自他共に目されていたブラジル国籍のセルジオ・デメロ氏の伝記です。彼自身根っからの哲学者で、特に平和構築のフィールドにおいて種々の哲学的思考・理論と現実世界との融合を、国連という世界で実現しようとした人物です。最後はイラクの国連事務所爆発テロの犠牲者という形でその短い一生を終えることになります。

著者についてですが、この著者の英語の美しさや文章展開の巧みさは、特筆に本当に価します。こういう硬い外交・平和構築に関する本がここまで鮮やかに、人を飽きさせないで書くことができるのか、と脱帽しました。彼女の英語は本当に美しいです。

しかしただ”すばらしい本”、といってもこれを読んで国連に希望がわくのか、というとそのほぼ逆の内容となっているように思います。国連が標榜している理想、方向性、とそれを“上書き”しつくす地政学と国連内部の硬直性、が見事に悲しいまでにデメロの獅子奮迅の“国連における”活躍をより際立たせてくれます。魂的な視点から見ても、彼の人生は美しいまでに、自らが課した課題・命題に呼応する世界における学びであったことが鮮明に描かれています。自分の内からくる設問に正直に向き合っていくと、彼が現世で生きたような美しいほどの重い学びができるのだな、と感じた次第です。

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