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Blink

● 「Blink: The Power of Thinking Without Thinking」 Malcolm Gladwell  ★★ (オーディオブック)
前に読んだTipping Point(一冊目)、Outliers(最新作)の著者、グラッドウェル氏の二冊目の作品です。彼の作品はとにかく視点が面白いですね。今回のもいかにBlink、つまり「ぱっと見」を通して手に入れられる情報が大事で力があるのか、に注目した作品です。

彼の作品のもう一つの特徴としては、本の各章を積み上げて'一つの明確な結論を導く'、という形にはなっておらず、それぞれの章において主題を'取り囲む'('導く'ではなく)トピックが書かれていることでしょうか。自身の評価の星は二つですが、これは彼の3つの作品を比べれば、ということですかね。一番面白いのはOutliers、そして次点でTipping Point、そしてこのBlinkとなります。

Outliersの主題が自分のおかれた境遇(時代、肉体・遺伝、場所などなど)がいかに個である自分に大きな影響を及ぼしているのかであったように、このBlinkの主題は個々人が抱く「ぱっと見」判断の奥には実は非常に合理的、そしてときとして一方的な判断があるのか、というものであります。

彼が引き出していた「ぱっと見」・「直感判断」の事例は:
・夫婦の離婚率を二人の(ほんとの短時間の)会話から判断できること
・「黒人」に対する'差別'からくる警官の射撃事件にある「ぱっと見」判断の難しさ
・マーケティング調査では絶対に成功するはずの音楽やソフトドリンク(コーラの例)の失敗例
・ゲティー美術館が科学的な調査を尽くして'本物'と判断したクーロス(古代ギリシャで作られた青年裸体像)の失敗例
・消防士の直感の行動が実は合理的な情報の積み重ねであった件
・自閉症の'心を読めない'症状とそこから学べる「ぱっと見」解析の更なる解釈

などなどです。繰り返しますが、彼の作品の特徴は各章を仮説への強引な立証にはつかっていないことで、この本から来る結論はしかし(月並みですが)「ぱっと見からくる直感・判断は時として合理的な判断よりも格段にまさっているが、その扱いには最新の注意が必要である」という感じでしょうか。

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