読んだ洋書の棚

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読んだ本報告

以下、報告出来てなかった本です。いま書かないといつ書くかわからないので煩雑で簡略です。すんません。あとお分かりの通りほとんどがオーディオブックです。

The Secret History of the World by Jonathan Black ★★★★☆
バングラデッシュに出張でいった帰りのドバイの空港でふと見つけた本です。3.5★、でしょうか。所謂オカルト、秘密結社が綿々と教えて来ている奥義、秘密の視点から見た地球の誕生から現代まで、所謂「裏」の歴史、を書いた本です。

本書、非常に欧米を中心として書かれていてかなり偏ってますが、それでも書かれている内容は結構面白いです。現実の人間の歴史、地球、というのが実は二義的で、宇宙、星座の状況こそが第一義でそれが原因で二義的な影響がでてきている、と平気で描かれているのがなかなか新鮮でした。星座からの影響がまずあり、それから地球、人間にその効果が現れ、なので人間ががんばってどうのこうのという”小さい”レベルではなく、大宇宙の運行?状況をこそが大事だという一個の確立された教えがあるみたいですね。中国の易にもそういう話があるようですね。

The Pillars of the Earth (オーディオブック)by Ken Follett ★☆☆☆☆
オペラウィンフリーの推薦図書の一つで、中世の教会について小説の形でなんか勉強出来るかな、と思って手に取ったのですが・・・。なんなんだこれは。どうもやっぱり私にはファンタジー小説?は向いてませんわ。この小説はとくに駄目でした。

登場人物の設定、動き、事件、等々になんの脈絡、哲学もなく、単にスリル、興奮を与えるために?起こされている出来事、という印象は最初からずっと終わりませんでした。まぁこの作者は大衆推理小説を書いている人みたいですのでそれはしょうがないか、と思いますが、うーん、時間の無駄でした。絶賛されているのでさぞかし面白い?のかなと思いましたが、全然でした・・・。

歴史と外交 by 東郷 和彦 ★★★☆☆
例の鈴木宗男事件で大きく取り上げられた佐藤優氏の上司、という知識しかありませんでしたが、とって読んでみると彼の真摯な姿勢、性格が結構伝わります。ご本人が九州で豊臣秀吉?から陶器作り?の職人として連れて来られた朝鮮人の末裔である、ということも書かれてありました。ままおもろい。

インド人とのつきあい方 by 清好 延 ★★★☆☆
インド人と、つきあってますか?国連関係はインド人、多いです。ま、人口も多いですしね。(が中国人はまだまだ国連では希少な存在であると個人的な統計では思います。)堅苦しくなく書かれてある本でまぁおもろいか?という感じ。興味のある人、彼らとつきあわなくてはいけない人はお勧めかもしれません。

Made to Stick (オーディオブック)by Chip Heath ★★★★★
(これ、日本語版がありました:「アイディアのちから」。翻訳の質はわかりませんが)
5つ★です。広告、PR、とは言わずにコミュニケーションに携わる人であれば”絶対に”お勧めします。実際にどのようなアイディア、言い方、内容が人の頭、心に残ってどのようなものが残らないのか、それをすばらしく、ビビッドに解説しています。殿堂入りレベルです。おもろい。

The Devil We Know (オーディオブック)by Robert Baer ★★★☆☆
どのようにイランがアメリカのイラク侵略を前後して中東に置ける覇権を握りつつあるのか、を書いた本。彼の前の作品に比べるとしかし結構見劣りします。See No EvilとかSleeping with the Devilのほうが格段に面白かったです。彼の作品を読んでない人にはまずこの二冊がお勧め、です。でも勉強にはなりますのでこの本も中東とかイランの動向に興味のある人はいいのでは、とおもいます。

The Astonishing Power of Emotions (オーディオブック)by Esther and Jerry Hicks ★★★★★
きました。殿堂入り。日本語版は「実践 引き寄せの法則 感情に従って”幸せの川”を下ろう」です(翻訳の質はちらっと現物を見ましたが、悪くはないと思います)。The Law of Attraction、引き寄せの法則はかれこれ10冊?以上は読んで来てますが、やっぱり一番心に響くのは本家?のヒックス夫妻の著作ですね。その中でもこの本は本当にいい。

引き寄せの法則において感情というのは非常に大事なコンパスのような役割をもつ、ということは何度も書かれている通りですが、この本ではいかに「上流」の感情(怒り、嫉妬、悲しさ、等)、から「下流」の感情(安堵感、幸福感、等)に変化させて行くのか、というやりかた、行程を色々なケースごとに説明してあり、非常に実践的です(まぁ邦訳の題にもなってますが)。

この本の中で一番力強かったラインは: "Nothing that you want is upsteam"、自分(そして自分の魂)が望む事のすべては上流(の感情)にはない、というものです。そしてこの本は「安堵感」のもつものすごいパワーを説いています。Complete surrender(完全なる降伏?)としてよく禅の概念でも書かれていますが、流れが激しい(と自分では感じている)川をボートで必死に上流にこいで行く、という「苦しさ」がつきまとった上流の状態から、一気に恐れずオールを手から放り投げ、流れのままに流されて行くことの絶対的な重要性、そしてその潜在性をこの本は説いています。

この下流に感情をもって行く、ということが、負けを認める、という社会通念にベクトルが似ている、と感じるかもしれませんが、オールを投げ出した瞬間に負け、や、勝ち、という状況はなくなるわけであり、また「負けを認めている自分はだめだ」「負けてはいけない」という上流の感情を安堵のものにかえていくことこそが肝要である、と説いています。珠玉。

The Intelligence: A Novel by CIA (オーディオブック)by Susan Hasler ★★☆☆☆
かなりうーん?な内容、進め方、でしたが、イラク侵略前後のブッシュ政権下におけるCIAの職場、職員のおかれていた状況が小説の形でかなりビビッドに描かれていたのが唯一の面白かった部分でした。それでもストーリー展開とか人物描写とかがかなり粗悪に感じましたが・・・。

The Girl with the Dragon Tattoo (オーディオブック)by Stieg Larsson ★★★★★
やっぱりフィクションは自分にはあわないかなぁ、でもフライトが多い時期があって移動中に聞くのはやっぱりなんか軽い、でも興味深くスリリングなほうがいい、ということでミステリー部門で非常に評判が良かった同作品を読んでみました。・・・おもろい。確かに女性虐待という結構グロい描写、事件が題材とはなっていて、そこらへんは聞かないか、スキップするかでその描写の濃さを人工的に薄めることが有効ではないか、と思いますが、その欠点?を引いてもあまりある面白い推理小説でした。ちなみにこれは三部作の第一作ですが、この作者のスティーグラーソン氏はこの三部作を完成させてそれを出版社に届けて直後に?亡くなった、というこれまたミステリアスな現実も相まってかどうかしりませんが、面白いです。これはすげー面白い。

The Girl who Played with Fire (オーディオブック)by Stieg Larsson ★★★☆☆
んでこれがその第二作。第一作の衝撃と比べるとこれはかなりあんまり?冗長な内容でした。何しろ本編のストーリーが始まるまでに200ページくらいを読み進めないといけません。まぁこの主人公の女性に秘められた謎(これは第一作ではほぼなにも触れられていません)がだんだんと出てくるのでその部分では面白い、ですかね。

At Home: A Short History of Private Life (オーディオブック)by Bill Bryson ★★★☆☆
ベストセラーのA Short History of Nearly Everything(自然科学のトリビア満載の本。うんちくが好きな人にはお勧めです)の著者の最新作(だとおもいます)。今回は「家」というテーマで普段なんの疑問を抱く事のない物、習慣、食べ物、調味料などの歴史とその背景が延々と語られている本です。聞き流してましたが、ままおもろい。

The Girl Who Kicked the Hornets' Nest (オーディオブック) by Stieg Larsson ★★★★☆
そのスティーグラーソンの三部作の最終巻。主人公の女性とその出自にまつわる人や事件がテーマの巻。主人公がスウェーデンの伝説的なハッカーという設定もあり、やっぱり面白い要素が詰まったスリラーではないか、と思いました・・・が、第一巻の衝撃に比べるとこれもあんまり?でしたかね。

The Biology of Belief: Unleashing the Power of Consciousness, Matter, & Miracles by Bruce Lipton ★★☆☆☆
いかに生物がDNAにではなく、それを取り囲む膜や外的環境によって左右されているのか、という生物学的な視点からの立証が試みられた本です。が、この本の著者の説明がうたっているような、心が実際にどんなふうな変化を体に及ぼしているのか、という部分はこの本にはありませんでした。DNAではない外的/心的環境が細胞に対して影響を及ぼす、という可能性についてだけ最後まで語られている本でした。実際にどう起こっているかに興味があったんですがね・・・。

The State of Africa: A History of Fifty Years of Independence by Martin Meredith ★★★★★
すばらしい。アフリカの歴史、開発、環境等々にすこしでも興味のある人は必読だとおもいます。これはよくあるアフリカの貧困、腐敗の状況を”失敗”という枠組み、アングルで見るのではなく、アフリカのそれぞれの国の指導者、国民、そして宗主国がどのような動きをもって、いまいるその(アフリカの)国の状況になっていったのか、ということが素晴らしい小説家のような作者の文章で描かれています。独裁者たちの始まりと終わりが淡々と、しかしものすごく人間味あふれる書き方でその裏側、性格、生まれ育ち、などが描かれています。ものすごく読みやすい本。すばらしい。

長い坂(上・下) by 山本周五郎 ★★★☆☆
なんと、こういう日本の小説を読むのは多分司馬遼太郎以来?かもしれませんが、山本周五郎の作品はこれが私は実は初めてで、しかもこれが彼の最後の作品というです。最後の作品だからか、この物語の登場人物が語る言葉の随所随所になかなか達観、といいますか、本当に遠くを見据えた珠玉の言葉が結構散らばってました。平侍の息子として生まれた主人公の出世を取り巻く時代小説です。でもちょっと主人公ができが良すぎるのがすこし違和感がありましたが、ぶれない、という一つの(白州次郎ではないですが)プリンシパルの大事さがかっちり伝わってきました。

The Elegant Universe: Superstrings, Hidden Dimensions, and the Quest for the Ultimate Theory (オーディオブック) by Brian Greene ★★☆☆☆
(邦訳は「エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する」翻訳の質は結構悪い?見たいですね。レビューみていると。)
中学校時代に背伸びでしょうか、理論物理学、アインシュタインの特殊相対性理論とか量子力学、そして超ひも理論について興味をもった時期があって(雑誌のニュートンとかそのとき結構読んでました)、確か中三?でしたか京都にスティーブンホーキング、そしてデービットグロスという超有名な理論物理学者が講演に来たときに学校を抜けてそのシンポジウムに出たことがあります。ま、実際に理解していたのか、そしていまでもしているのか、という質問には答えはみつかりませんが、素人レベル、野次馬レベルでのこういう分野への興味はずっと持ってました。

・・・ということを話していたら今のオフィスの同僚にこれを絶対読め!と勧められて読んだ本です。しかしこれ、オーディオブック、としてますが、始めの30%はキンドル版で実際に読んでいたのですが、途中からはドイツで妻と子供と合流して単身赴任生活がおわったことに伴い、仕事終わりの読書などは望めなくなっていたので、理解できる範囲は非常に狭まるけどもそれでも読みたい、と思ってのオーディオブック版という事に相成りました。実際に読んでいる時はそれはそれは面白く感じたのですが、話が(そしてここらへんでオーディオブック版に切り替えたので余計に)超ひも理論の細かい説明に入って行くところらへんでもうかなり迷子になり、それが最後まで結構続いてしまいました。しっかりとゆっくりと、平易な形で理論物理、量子力学、そして超ひも理論の説明がなされていますが、かといってオーディオブックで聞き流せるくらいに内容は簡単ではないので、この本はちゃんと(興味のある人は)手に取って読んでください。

が、そういう中でも感じたのは超ひも理論は結局扱っている”ひも”の大きさの単位(10のマイナス33乗cm?!)のあまりの小ささのせいで実験的には立証は(すくなくとも現代の技術では)出来ない代物で、このような極小の一次元のヒモがあると仮定していろいろと数式、推測を進めて行くと、宇宙のすべての事が一つの理論で説明出来るかもしれない、という大きな可能性を秘めた理論ではあるのでしょうが、精神的・哲学的にこれ以上小さくならない存在、というのは宇宙にはない、と感じているのでまずここでちょっと違和感がありました。

また”究極の理論”(超ひも理論)と、それから説明される現象、というのは二つの別個のもので、それから説明される現象が無限大に増えたとしてもこの実験実証不可能な究極の理論そのものの直接的な立証にはならないのではないか、と感じました。必要条件だが十分条件ではない、みたいなやつですかね。(ってかなりとんちんかんな間違えをしてるかもしれませんが・・・)

犬と鬼-知られざる日本の肖像- by アレックス・カー ★★★☆☆
以前バンコクで実際にお会いする機会があったアレックスカー氏の他の著作の日本語版です。日本という制度がいかにほころんで崩壊しているのか、ということを伝えようとした作品。試みは非常にいいと思うのですが、かなり感情的になっている部分が多々見られ、論の飛躍もあり、日本の各セクターごとでどのような問題があってそれがどんな内容なのか、という大まかな点においては勉強になるのでは、とおもいます。

しかし彼が、ヨーロッパでは、アメリカでは、と出してくる”いい例”が、かなり近視的/マイクロな点が気になりました。例えば日本の公共事業、”土建社会”を非難してアメリカはそう言う事はない、といっていますが、アメリカの軍産複合体をベースとしたアメリカ本国の、終わる事のない”公共事業”(兵器産業)によって日本国では犠牲になっているのは自然、そして間接的に人の生活、となるでしょうけども、アメリカの場合は何十万という(アメリカ人以外の!)人の命、となるわけですし、一概に、”日本の公共事業はアメリカと比べて間違っている”、という結論にはなかなか無理がある、と思います。ロジックだけで言うと、日本の公共事業(だけを分析して)ここが間違っている、という論はもちろん理解出来ますので、比較のレベルの問題だけではあるのでしょうけども。

あとはまぁ未来(=今)からさかのぼって非難するのもなんですが、アメリカの金融産業・技術を褒めちぎっている箇所がいくつかありましたが、それは1999年の出版時で2008年以降の状態ではこのような記述はバブル期の日本の経済学者が書いていた本とか、またはフランシス福山がかいた”歴史の終わり”のようなむなしさがあります。

とはいってもやっぱり彼が力説しているように日本の景観はおかしいと思います。電柱、室外機、古い建物の破壊、パチンコ、コンビニの乱立、コンクリ詰めの川、海岸、看板、案内騒音などなど、もちろん日本だけの問題ではないですが、うなずくところも多々ある作品でした。

読んだ本報告


神の棄てた裸体−イスラームの夜を歩く ★4
おなじみの石井光太氏の作品です。アジアのイスラム圏においての娼婦・娼夫のルポです。ミクロのレベルからえぐるようにして、社会の問題の構造を鋭利なアングルで貫通させて読者に見せて行く、という「物乞う仏陀」と同じタッチの本です。いろんなストーリーがもちろんちりばめられているのですが、その中でもビルマにおいての、日本兵に強姦され村を逃げざるを得なかった現地の女性の夫の話が一番魂的に美しいと個人的には感じました。日本兵から孕まされ生まれた不具の子供が、結局一度もその後会えることもままならなかった妻とその夫とをつなぐ唯一の絆となり、その憤怒・憎悪の対象でしかなかった子供の存在こそが、実は幸福を運んでくれていたということにはたと気づき、感謝の念が溢れ出した、というくだりは魂的な観点からみて本当に深く、そして美しい逸話でした。心の抵抗を作る必要はなく、人生におけるすべての万象に対し、構えを解き、安堵、そして感謝の念をさえ持ち続ければ、魂は必ず輝きだす。そのことが非常に美しく描かれていました。


Bangkok Found ★4
Alex Kerr氏のバンコクについてエッセイ風に書かれた作品。著者のKerr氏は数十年京都に住まれた後、バンコクに居を移しそこにまた数十年住まれているようで、私がドイツに異動する2ヶ月ほど前に現地の日本大使館のお世話になったご夫婦から紹介していただいて、実際にお会いすることが出来ました。

というKerr氏なのですが、僕とは間接的な奇縁があります。というのも、実はこの方、その生前私の祖父の家を生前の最後の家として間借りていた骨董商のDavid Kiddという人のお弟子さん?のような方です。なので前からお名前は聞いたことがあったのですが、実際にお会いしたのがこのときが初めて、となりました。(ちなみに生前のKidd氏のコレクションを見させてもらったことが一度だけあるのですが、そのとき中学生でまったくわからないながらも、平安時代の国宝級の木彫りのご神体を見た時の衝撃というか鳥肌は今でもはっきりと覚えてます。)

本の内容は彼の半生がある意味ちりばめられている書き方で、バンコク、タイのいろいろな社会の層(上流、下流からスラム等)や、街の歴史や文化の彼自身の解釈や説明が混じあい、非常に読みやすい内容になっています。もちろんタイを語るにはさけては通れない王族の話も少しは出てきますが、発禁処分になっていないということでそこらへんのスパイシーな(?)部分はもちろんありませんが、バンコクに興味のある人にはこれ、なかなかのお勧めです。


What Got You Here, Won't Get You There ★5
これは世界的に大きな会社のCEO、重役、幹部、そしてトップを期待されているような層の社員に特化して人材育成のトレーニングをしてきている専門家の方がかいた本です。アメリカで結構ベストセラーになってるようです。この本を紹介されたのは、以前ニューヨークでの職場の研修に参加したときに必読、といって紹介された本です。まぁどうせ西洋的な内容の人材論、リーダーシップ論だろうと思って読み始めましたが・・・。これはなかなか面白い。

そのような層(大会社のCEOを期待されているような)の社員へのメッセージは、このタイトル通りで、スキル、そして実力、というもので現在の地位を築いたあとは、その実力やスキルだけではトップには立てず、Behavior(適当な訳が思い当たりませんでした。対人関係?自分の行動様式?)がこそ、本当に上に立てるかどうかを見る分かれ目となる、という、書きだせばなんてことはないのですが、 この本の深淵なところは、非常に東洋哲学に論が収斂されていること、でしょうか(実際著者本人が仏教徒です)。

かなり東洋的な結論が最後の方にでてきていて、こういう東西哲学の美しい交わり合いが書かれた作品も珍しく、ひさびさにずしんとくる本でした。まず自分の非を公に認める(sorryと言う、と強調されていました)、エゴを極力抑える、無私の精神、相手をたてる、などなど、一見して日本のハウツーものの内容かと思うくらいの推薦されたBehavioral patternが紹介されてました。

”西”の企業社会においてはトップに立つまでがエゴにきっちりと守られた個人の実力・スキルをもって威力を発揮するけども、トップに立った後はその個ではない無私の人格が大事となり、”東”においてはその逆、つまりトップに立つまでは無私の人格が大事となり、トップに立ってからは個人の実力、スキルを多いに発揮していかないといけない。ま、かなり強引ですが、こういうダイアグラムも描けるのでは、と感じました。

何千と取られて来たこの著者のアンケートの統計の紹介という形でこの本は閉じられていますが、どんな、世界で何本の指にはいる大会社の社長をしてようが、人間つまるところ、家族、友人、周囲の人を大切にし、真摯につきあい、自分が本当に楽しいと思えること、好きなことに挑戦し続けて行くことだけが、至高の魂の喜びにつながるという、魂の存在である人間への原点回帰が訴えられています。東も西もなく、あるのは一個の魂。なかなか驚かされ、良かったです、この本。

読んだ本ラッシュ

物乞う仏陀 ★4
以前読んで気に入った石井光太氏のデビュー作です。かなり有名なので読まれた方も多いのではないでしょうか。絶対貧困の時もそうでしたが、一般的に「可哀想」と思われている状況にいる人々の生活に自身がはいり、彼の視点で(ちょっと筆が走りすぎている部分はないことはないのですが)第三者の目ではなく、当事者により近い第二者の視点から見ているところが非常に新鮮で、より考えさせられます。でもアジア各国を行っている著者ですので、基本的に現地の言葉は解さず、簡単な英語を解する仲介人を経た情報がそのほとんどでしょうし、それを考えるとすこしメロドラマ化された描かれ方がされているのでは、と感じるところは多々ありました。でもそれを差し引いても面白い。お金持ち国家の住民が、いかに罪悪感を感じなければならないかという原罪的、ドグマ的な基本スタンスがないのでそれも非常に新鮮です。おすすめ。



もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら ★3
日本に一時帰国していたときになんか人気ということで手に取った本。うん、面白い書き方、試み、という感想。ドラッカーの本は読んだことがないので一度彼の本も(長いので)じっくりと読む日がくるのか?と感じた次第。まぁ軽い本。


A Problem from Hell ★2
以前に紹介した、かなりヒットだったChasing the Flameの著者のSamantha Powerのデビュー作?ですが、これは残念でした。いかにアメリカが世界における「大量虐殺」を横目に見、介入出来る政治力そして軍事力がありながらも(最終的に)我関せずの政策決定をしてきたのか、ということが滔々と書かれた作品。始めからあまりの著者の「全宇宙アメリカ中心主義」の思想が臭いくらいに表に出されており、自国に直接的に関係ないことに対して、政治的、財政的、国の安全保障に甚大なリスクを負ってまで介入する国が一般論的に非常に希有であるという初歩的な事実が完全に無視されてて書かれています。にも関わらず、その「大量虐殺」に対して(そのような国の絶対的性質を超えたレベルで)アメリカという世界に置けるスーパーパワー、「世界の警察」が稼働されるべきだ、という彼女の論にはちょっと(昨今のアメリカの軍事以外の弱まりを鑑みると)古くさささえ覚えました。でもちょっとChasing the Flameの印象が強すぎたのが原因かもしれません。

The Shark and the Goldfish: Positive Ways to Thrive During Waves of Change ★2
自己啓発本。引き寄せの法則等等、いろいろと読んで来てますが、彼の本はどうもまだまだ「敵」「悪」という存在を全面的に自分から切り離してその存在を認めているためにその悪をこてんぱんにやっつける、ようなアメリカンヒーロー的な雰囲気がかなり出されていました。一瞬の心のブーストアップを得るにはいいのでしょうが、つまるところこのような「敵」も、「コントロール出来ない悲劇」も「悪」もすべては自分の内部の投影にすぎず、「内」も「外」もつまるところ存在せず、その二つを行き来する流れそのものが自分である、という論を展開していません。・・・が、「自分とそれ以外の対立」という構図から始まっているので非常に力強いフレーズ、言い回しが多く、それは良かったと思います。


Africa Rising ★4
これはさくさく読めて面白いです。いかにアフリカ大陸がこれからのビジネスのキーとなって行くのか、どのような潜在性がアフリカの市場にあるのか、ということが沢山のケース、企業の紹介とともに描かれています。アフリカと言えば難民、紛争、虐殺、貧困、エイズ、ダイヤや石油、負の遺産などなど・・・そのすべてがマイナスのイメージが闊歩していますが、この本はそうした面ではなく、アフリカの明るいところ、エネルギッシュな部分をふんだんに紹介した本です。ただ一つ残念なところはそれぞれの個々の企業、マーケティングのケースは面白いのですが、それが全体からみてどうなのか、というマクロ的な分析がまったくなかったのはちょっと残念でした。とある企業はものすごく成功している、というだけではなく、この企業のこの成功はこの国に置いて何%のGDPの成長に寄与している、とか、実際にこの企業のビジネスモデルを適応してここまでの経済効果をアフリカ全体で引き起こしている、という像が提供されてませんでしたので、また彼の次回作に期待します。


Carbon War ★4
これは結構読み応えがありました。何十年も石油産業に関わって来た鉱物・地質学者の著者が転職先に選んだのがGreenpeaceで、この本は今まで石油産業のど真ん中にいた著者がどのようにして気候変動・地球温暖化という、その当時では国際的にもまったく重要ではなかったトピックをどのようにして国際的な動きにしていったのか、そしてオイル産業のロビイストグループとの駆け引きなどが克明に描かれています。2001年のペーパーバックなのでかなり古い時期の話となりますが、気候変動というトピックの国際的なうねりがまさに出てきた頃の話なので非常に面白いです。この分野に興味のある人はおすすめ。


The Energy Bus ★2
上記のGoldfish and Sharkの著者のもう一冊。うーん、力は入る内容、書き方なので(繰り返しますが)心のブーストアップ、勢いが必要な人にはいいと思います。


稀少資源のポリティクス—タイ農村にみる開発と環境のはざま ★5
日本のアカデミアという世界をあまりに知らなさすぎるのでなんとも言えないのですが、この著者の佐藤仁という人ほどに研ぎすまされた、常人では考えられないようなものすごいフレームでものを見られる日本人学者は初めてお目にかかりました。常人では見過ごしてしまうようなことを考え通し、見事なフレームを取り出し、それをフィールドレベルでデータを集め立証して行き、このフレームの有用性を立証して行く、ということをタイに置ける保護公園を取り巻くアクターを題材に進められた本です。

彼の本を読んでいると、本当に、本当に考え込んで書いている文章、ということがずっしりと感じられます。考え抜かれた一文一文が本当にちりばめられた一冊です。これが彼の博士論文がベースになっているということもまた彼の怪物さが実感出来る事実でもあります。ストイックにひたすら自分を見つめて追いつめているイチローのような印象を彼の本を読んで感じました。いや、彼はすごい。


グーグル革命の衝撃 ★1
NHKスペシャルの本ということで買いましたが、駄作。たんなる取材のまとめ。グーグルについての本当のすごさの分析は梅田望夫氏の「ウェブ進化論」の方が論をまたずにお勧め。(梅田氏の本はちょっと以前のブログで言及してます。こことここです)。

読んだ本ラッシュ

逐一感想を書くのはどうもやっぱり時間がないですね・・・。以下、読んだ本と一文少々とその個人的なお勧め度。売国奴 ★3
韓国、台湾、中国、日本の歴史を新たなアングルで見ている、という感じ。まぁそこまでおすすでもないです。個人的には。
タイ中進国の模索 ★3 →タイに興味のある人にはおすすめ
現代のタイの全体像を知るにはいいかもしれません。王室/王制についてのより「つっこんだ」話は皆無でしたのでちょっとスパイスにかけている気がしましたが、まぁ学術レポート本なのでそれはいいことにします。でも王の権限についての記述はなかなか面白いです。この国の国王は:
・タイ国軍を総帥する地位にある
・内閣総理大臣と35名以下の閣僚を任命する
・事務次官、局長、それと同等の公務員文官と武官を任命し、もしくは解任する
・(国王が)同意せずに国会に返送した、あるいは90日が経過しても返送しなかった法案は、国会が再審議しなければならない
・・・という絶大な権限をもっているようです。彼の年齢を考えるとこの国の政治の不安定さ、国の危うさがちょっとは伝わってきます。

Harry Potter Half-Blood Prince (オーディオブック)★4
映画を見たのですが、わからないところがかなりあったので聞きました。ままおもろいですが、Harry Potterの始めのころの面白さからは段々と遠ざかっている気がしました・・・。

Harry Potter Deathly Hallows (オーディオブック)★2
んで、最終巻ですが、これはいけません。のっけから最後までずっと映画の脚本みたいなちゃちい流れ、状況設定が多すぎる、と感じました。映画ありきでストーリーを書いちゃったって感じです。はっきりいって面白くなかったです。冗長。映画なら逆に面白くはなりそうでしょうか・・・。

貧困大国アメリカ ★4 →おすすめ
これ、かなりお勧めです。上を向いて、挑戦して、成功を、という遺伝子の固まりの国ではありますが、こういう社会の負の側面、というのをかなりテンポよく書き出した本でした。経歴を見てると?という感じでしたが、実際のルポの内容はなかなかでした。よかったです。

差別と日本人 ★4 →おすすめ
タイトル通り、日本人には切っても切り話せない話。野中広務氏の対談本です。政治と部落・非差別住民、という切り口です。面白いです。彼については魚住氏の「野中広務 差別と権力」はもっと秀作です。野中氏に関して興味のある人はこの本をまず読まれては、と思います。

The Lost Symbol

The Lost Symbol (Dan Brown) ★★★ →ダビンチコードを読んだ人ならまぁおすすめ。

ダビンチコードのDan Brownの最新作です。Audible.comから購入してのオーディオブックで“読み”ました。感想はうーん、いまいち、でしょうか。いまいち、というのはDa Vinci Codeに触れた後でこの本を読むと、正直Dan Brownの力量というのは所詮こういうものだったのだな、逆にダビンチコードがたまたま大ヒットで中身も非常に良かった、というレベルだったんだな、とわかります。ですのでこのLost Symbolはどっちかというと、Angels & Demons(天使と悪魔)のレベルと同じ、となります。Deception Pointは超駄作でしたが。

ですが、この本が扱っているテーマは個人的には非常に面白かったです。テーマの選び方はさすが、という感じです。科学と宗教の接点をよく描く彼ならではの、いま現代に非常に大事な未来科学が焦点となっています。

でもよかったのはそれくらいで脚本とプロットに大きな穴があるようにも、無理矢理暗号にさせようとしてるようにも感じました。ですので繰り返しますが彼の力量がわかった、という作品だとおもいます。でもダビンチコードを読んだ人ならとりあえず読むでしょうねぇ。私も飛びついて読んだので。

Chasing the Flame: One Man's Fight to Save the World



Chasing the Flame (Samantha Power) ★★★★★

これもう一年近く前に読んだ本です。知人の方からの紹介で手に取った本なのですが、これはすばらしい本です。本当によかったのでしっかりとした感想を書きたいと思っていたのですが、結局書けずじまいでここまできましたので、もう以下の手抜き感想と結局は相成ります。

これは次期国連事務総長と、自他共に目されていたブラジル国籍のセルジオ・デメロ氏の伝記です。彼自身根っからの哲学者で、特に平和構築のフィールドにおいて種々の哲学的思考・理論と現実世界との融合を、国連という世界で実現しようとした人物です。最後はイラクの国連事務所爆発テロの犠牲者という形でその短い一生を終えることになります。

著者についてですが、この著者の英語の美しさや文章展開の巧みさは、特筆に本当に価します。こういう硬い外交・平和構築に関する本がここまで鮮やかに、人を飽きさせないで書くことができるのか、と脱帽しました。彼女の英語は本当に美しいです。

しかしただ”すばらしい本”、といってもこれを読んで国連に希望がわくのか、というとそのほぼ逆の内容となっているように思います。国連が標榜している理想、方向性、とそれを“上書き”しつくす地政学と国連内部の硬直性、が見事に悲しいまでにデメロの獅子奮迅の“国連における”活躍をより際立たせてくれます。魂的な視点から見ても、彼の人生は美しいまでに、自らが課した課題・命題に呼応する世界における学びであったことが鮮明に描かれています。自分の内からくる設問に正直に向き合っていくと、彼が現世で生きたような美しいほどの重い学びができるのだな、と感じた次第です。

The Weather Makers

●「The Weather Makers」 by Tim Flannery ★★★

オーディオブック。オーストラリア人の科学者で結構高名(らしい)なTim Flannery氏の本。気候変動の分野では必ず紹介されている本なのですが、実は3年前くらいに購入していたにも関わらず、なかなか読む機会がなくいままでほったらかしにしてました。が一念発起?してオーディオブックを購入して読みました。

オーディオブックってホントに不思議な感じで、読むスピードは普通の人が読むスピードなのですが、やっぱり一定スピードで読み続けてくれるということと、どっかり座って本を読まなくていい(いろんなそのほかの時間を有効に使える)ということで、時間だけを見たらこういう本でも10何時間で実際にたとえ読むスピードが遅くても読めてしまうはずなのですが、どうもやっぱり読みきるのに時間がかかってしまったり、もしくは読み終えることすら結構億劫という悲しい現実が通常の読書にはあります。(あと仕事で常に接しているトピックなので私的な時間まで仕事関連の本を黙読したくはない、ということもあるかも、しれませんが・・・。)

ともあれこの本は以前紹介した「チェンジング・ブルー」の英語版、ともいえるかもしれません。気候変動というのがどのように解明されてきて、そしてそれがどのような規模、速さ、場所で、どんなインパクトを(特に生物多様性に)与えてきているのかについて書かれています。「チェンジング〜」が地質学者からの視点からかかれた本であれば、これは生物・生態学者からの視点で書かれた本だといえます。

ただこれは個人的な考えなのですが、アメリカで教わった生態学ではKeystone Speciesというような、一つの生態系に対して"中心的な"役割を持っている種を、例外的な重要性をもつという形で特別視し、集中的に保護するべきだ、という考えがあるのですが、どうもこの考えには欧米人が実は非常に興味のある優生学の匂いがちらついている(分類学も同じような匂いがしますが)ようにも感じられ、昔からとっつきにくかったのですが、それと同じような感覚をこの本を読んでいて覚えたことは確かです。

人類が犯している'善悪'に大きい小さいも存在せず、ただただ個々人の周りに存在する森羅万象のなかに、所謂'善悪'という、相反するエネルギーが発現しているということ、そのエネルギーと観察者・当事者である個人との一つ一つの係わり合いの全てが重要なのであり、一つの物象を取り上げてそれが他の物象よりも重要だ、重要ではない、という考えには賛成しかねます。

全体的にあんまり印象には残らなかった本でしたが、時々おぉなるほど・・という部分もあり、そういう部分では読んでよかったです。

Blink

● 「Blink: The Power of Thinking Without Thinking」 Malcolm Gladwell  ★★ (オーディオブック)
前に読んだTipping Point(一冊目)、Outliers(最新作)の著者、グラッドウェル氏の二冊目の作品です。彼の作品はとにかく視点が面白いですね。今回のもいかにBlink、つまり「ぱっと見」を通して手に入れられる情報が大事で力があるのか、に注目した作品です。

彼の作品のもう一つの特徴としては、本の各章を積み上げて'一つの明確な結論を導く'、という形にはなっておらず、それぞれの章において主題を'取り囲む'('導く'ではなく)トピックが書かれていることでしょうか。自身の評価の星は二つですが、これは彼の3つの作品を比べれば、ということですかね。一番面白いのはOutliers、そして次点でTipping Point、そしてこのBlinkとなります。

Outliersの主題が自分のおかれた境遇(時代、肉体・遺伝、場所などなど)がいかに個である自分に大きな影響を及ぼしているのかであったように、このBlinkの主題は個々人が抱く「ぱっと見」判断の奥には実は非常に合理的、そしてときとして一方的な判断があるのか、というものであります。

彼が引き出していた「ぱっと見」・「直感判断」の事例は:
・夫婦の離婚率を二人の(ほんとの短時間の)会話から判断できること
・「黒人」に対する'差別'からくる警官の射撃事件にある「ぱっと見」判断の難しさ
・マーケティング調査では絶対に成功するはずの音楽やソフトドリンク(コーラの例)の失敗例
・ゲティー美術館が科学的な調査を尽くして'本物'と判断したクーロス(古代ギリシャで作られた青年裸体像)の失敗例
・消防士の直感の行動が実は合理的な情報の積み重ねであった件
・自閉症の'心を読めない'症状とそこから学べる「ぱっと見」解析の更なる解釈

などなどです。繰り返しますが、彼の作品の特徴は各章を仮説への強引な立証にはつかっていないことで、この本から来る結論はしかし(月並みですが)「ぱっと見からくる直感・判断は時として合理的な判断よりも格段にまさっているが、その扱いには最新の注意が必要である」という感じでしょうか。

Ascent of Money

● 「Ascent of Money」(オーディオブック) Niall Ferguson ★★★★ 
ハーバードの財政歴史学(という分野があるのか知りませんが)の先生が書いたお金の歴史の本です。お金・財政に基本的に非常に疎い私でして、なんか初心者にもわかりやすく説いてる本はないものか、とおもって購入した次第です。そして大正解。非常に楽しく聞くことが出来ました。秀逸です。多分でも財政にすこしでも詳しい人には退屈+バイアスがかかった語り口、となるのでしょけども、私のような財政・金融初心者には非常に刺激的で始めから終わりまで勉強になりっぱなしでした。利子、紙幣の誕生、お金の貸し借り、保険、国債、株・・・などなどがどのようにして生まれ、どのようなことを可能にし、そして世界を動かしてきたのか、ということが書かれています。ちょっと思い出すだけでも:

・アラビア数字をもとに会計計算の基礎をつくったフィボナッチ
・外国為替取引における手数料、利ざやを通したビジネスを作り出したメディチ家の成功
・戦争の続く諸国の軍資金獲得という目的に使われ始めた国債
・ラテンアメリカからの金の搾取によってインフレを起こし何度も破産に陥ったスペイン王室
・イギリスのギャンブル好きが国をわたりフランスにおいて紙幣制度を確立し、そしてフランス革命の混沌へと導いたこと
・統計学の確立とデータの収集状況の改良からスコットランドで始まった保険のビジネス
・遠隔地での事業や貿易を可能にしたリスクヘッジの方法
・オランダで東インド会社がその魁となって始まった合資株式会社制度
・土地所有の意義と土地神話、そして貴族の勃興・没落

・ヘッジファンドの歴史
・住宅ローンの始まりと失敗
・サブプライムローンの意味、失敗について
・2008年の経済恐慌について

などなど、日頃気になっていた金融とお金の
トピックが所狭しと紹介されています。単なるギャンブル、実在しないお金、欲のみで占有された業界、と、個人的にあまりいいイメージのなかった金融の世界ですが、この本を読んで、3割くらいはああ、そういう重要な役割も背負っていたのか、と思わせる部分がありました(でもまだ7割は虚の世界と思ってますが)。

サブプライムローンについてはそのほぼすべての客層が黒人などの貧困マイノリティであること、そして担保も収入もなにもなくても住宅ローンが組めるという無理のある金融商品であったことが書かれており、それを可能にした一部の理由として(輸出に有利なように自国の通貨をドルに比べて出来る限り弱くしておくために)中国からの大量のドル・国債買いによってアメリカに流入した資本が背景にあった、とあり、ここまでつながってるのか、と非常に新鮮でした。

ということで結構分厚くてトピックも多く、どこまでしっかりと頭に植え込めたかちょっと疑問ですが、読んでるときはほーなるほど!が非常に多かった本でありました。お勧めです。

「The New Paradigm for Financial Markets」 ジョージ・ソロス

今日「読み」終ったものです。

●「The New Paradigm for Financial Markets: The Credit Crisis of 2008 and What It Means」(オーディオブック) George Soros ★★
ヘッジファンドの代名詞、あとはハンガリー系ユダヤ人としても世界的に知られているジョージ・ソロスの最新作です。以前ブッシュ再選を拒む活動の一環で大学院に講演に来ていたので実際見たことがあり、このときは彼のその当時だしたばかりの本、
The Bubble of American Supremacyの宣伝もかねてきていたと思います。講演のあとこの本を読んだ記憶があるのですがこの作品では、彼の行っているOpen Society Instituteなどを通しての主に(彼の出身国を含む)東ヨーロッパなどの旧ソ連の民主化運動のサポート、たとえば「コピー機」という、我々のように西側世界の影響を多分に受けた者には特になんの変哲もない機械が、情報の公開・流通・伝播という次元で非常に大きなインパクトを生み出す機械でもあり、コピー機の寄付という地道な行為を通して、旧ソ連(およびその他の圧政下におかれていた)の国々において非常に大きく反政府の動きを広めるのに寄与した、というような彼の行動哲学について言及していたことを覚えています。

んでこの本ですが、結論的にいうと、これはこのような彼の哲学についてまとめた作品であり、2008年、そして今まさに続いている世界金融・経済恐慌についてこと細かく書かれてある、ということではありませんでした。なのであまりヒットではありませんでした。彼のいう、Reflexibityという概念(再帰性、と日本語では言うらしいです。市場参加者による先入観、バイアス、期待、予想、心理などが実際の市場に交互に影響をし合っており、仮定の上に仮定を塗りたくったような経済学では金融市場の現実を説明することは不可能、とする彼の、市場と参加者の相関関係の考え方)、そしてナチス時代を生き延びた教訓を元に育てられたこの哲学が淡々と紹介されていた作品でした。

ですが、彼のような世界で有数の資産家、事業家、慈善家がどのような考えで世界を見ているのかがすこし垣間見えて、その点では面白かったです。世界レベルのヘッジファンドを運営して世界をみる、というのは、一つの株価が下がる上がるのレベルではもちろんなく、(市場だけではなく)国全体を、経済、金融のみならず、政治、文化、歴史からも基づいて判断していかなくてはいけないものである、ということが結構伝わってきました。

ナチス時代、共産時代と、人々の恐怖とそれに大部分を支えられた希望が原動力、行動背景となった世界で青年期までを過ごし、「個」と「全体」が相互に及ぼす影響力を実感してきたからこそ、原則・ルールのある(と思われた)金融市場システムとその参加者との
再帰性が彼には始めからみえていたのかもしれないと思いました。「個」と「全体」との相互の影響を通して台頭した全体主義の動きと、人工化、そして肥大化した世界の金融市場の動きとに共通の要素があったのでは、と思った次第です。

・・・ですが、実際の今回の恐慌について詳しく載っていなかったのでAmazonで結構評判が良いThe Ascent of Moneyをオーディオブックにて購入しました。いい本だといいのですが・・・。

乱読報告

最近の乱読です:

●「Hidden Truth, Forbidden Knowledge」 Steven M. Greer ★★★★
これねぇ、泣く子も黙るトンデモ本で、なんてったって邦訳のタイトルがずばり「UFOテクノロジー隠蔽工作」なんであります。これはいつ買ったのかちょっと忘れていたのですが、Amazon.comから購入してああ、こういうトンデモ本もあったなぁ、と思い出してページをめくりだしたのですが・・・。これはね、止まりませんでしたね。週末2日で没頭して読みふけって読み終わりました。これは単なる「トンデモ本」という範疇を超えているように思います。

もちろん人類がまだ手にしていない(と思われている)種々のテクノロジー(反重力、タイムトリップ、テレキネシス、テレポーテーション、フリーエネルギーなどなど)が実は50年代からもうアメリカで発明が始まっており、かの有名なロズウェル事件を境目として、飛躍的にそれらの技術開発が秘密裏に進められてきた、そしてこれらの技術はもう完成しており、しかもいわゆるグレイとかの宇宙人(ともくされている存在)も、(その「宇宙人」を介した)オブダクション、キャトルミューティレーション、などもこの(テクノロジーを握る)秘密政府の仕業であり、そして彼らの目的は宇宙人=恐怖、という図を植えつけ、地球全体を宇宙と敵対させる計画を進めている(!)・・・という、トンデモ本が好きな私でさえ正直「は?」というレベルのものであったことは確かです。

しかしこの本の作者のグリア博士が中心となり、かなり高名そして上層部にいるアメリカ軍関係者や、元政府高官などがこのような壮大な「秘密」を公開するという、まったくもってまじめな「ディスクロージャープロジェクト」(日本語のとあるサイトでさらっと読むとそのトンデモさがわかります)という公の試みも存在し、これが単なる「トンデモ本」ではもしかして終らない可能性があるのか?と思わせてくれるような、ちょっと怖い内容の本でありました。

こういう本はまぁほとんどの(オカルト、UFOとかのマニア以外は)人は興味を示さないかも知れませんが、この作者の霊的、哲学的な主張は驚くほど他のまっとうな(?)精神世界本の主張と共通するところがあり、霊性を高める、「悟り」を開く、チャクラを開く、などの一種の通過点が実は本当に高度な物理的な技術のベースとなっている、ということが非常に鮮明に見えたような気がしました。

邦訳がどういう質なのかは皆目見当付きませんし、このようなUFO・宇宙人関連の話は「ザ・眉唾もの」というレッテルが貼られており、役に立たないトリビア&トンデモ知識のみに特に興味のある人(例えば私)以外にはかなり、というかほぼ不可能に近いくらいに怪しい本です。なのでそういう人たちにはこんな本は一瞥の価値もないかもしれませんが、この所謂「怪しい」関係の知識に少しでも興味のある人は、これ、お勧めです。おもろいし、ホントだとしたらかなり衝撃的です。ホントか嘘かは与(あずか)り知りませんが、こんな知識も世の中には存在しているんだとホントに感心。

●「絶対貧困」 石井光太 ★★★★
これもヒット。例の有名な「物乞う仏陀」の作者の最新作です。これは「貧困=かわいそう=悪だ」の自動変換思考、もしくは「平和に反対するのか」論に代表される巷の開発論ではなく、生身の、等身大の「絶対貧困」層であるスラムの社会構成、日々の生活を淡々と説明した本です。

この「物乞う仏陀」は読む機会がなかったのでこの作品を機に彼の本をまたぜひ読みたいと思いました。これは完全な個人の性格の話ですが、私はなんでも事件性のある出来事を見聞きしたときにはまず、なぜなのか、という問いを始めにする性格です。なので目の前の「正義」を目指してすぐに突進するという性格ではありません(だから悪い、良い、という次元ではなく、私個人の思考・行動傾向です)。なので以前にも書いた松本仁一氏の本といいこの石井氏の本といい、私の好きなアプローチが取られているので非常に参考、そしていい本だとおもいました。

●「The Tipping Point」 Malcolm Gladwell ★★★
(邦訳はこちら)これはオーディオブックで読みました。前回のOutliersに続いてのGladwell氏の本で、同じく視点が非常に面白いです。これは一言で言うと
Epidemiology、つまり影響(プラスであれマイナスであれ)が指数関数的に増えていく現象の傾向と分析、そして原因を探る疫病学のような考えを現代の社会現象に当てはめたものです。

ここで扱われている社会現象とは例えば靴のブランド、「ハッシュパピー」の突然の人気、NYの犯罪率の突然の下落(でもこれはFreakonomicsにおいては単純に80年代(だったと思う)アメリカにおける中絶に関して肯定的な法律の成立によるものだ、という説もありますが)、「セサミストリート」の大成功、などなど、いかに小さい事が大きな変化を生み出していったのかが説明されてた本です。

もちろんこの作者のアングル、ものの見方が非常に面白いのですが、もちろん例えば(ユニークなアングルの傑作でいえば)「銃・病原菌・鉄」がありますが、これも「じゃ科学的(統計的に)立証してみろ」、といわれてもそれはこれらの本では出来ていないので、このように立証・確証がないのには耐えられない人には向いてない本だとおもいます。

でもこの本からは、表面化している、そして我々の思考フィールドに飛び込んでくる「核」と思われている事象が、実はそれを取り囲む種々の要素(考え方、文化、生活など)こそが本当の「犯人・核」であり、この表面化している事象が得てして(それを取り囲む、運ぶだけの)「ベクター」のような存在でしかない、という、主客の逆転、もしくは老子でいう、車輪そのものではなく、車輪の真ん中の空間こそが重要なのである、という無用の用のような道教、陰陽、そして二元論に通じる、かなり深遠なトピックであると感じた次第です。

あとは思考の現実化、という要素も十分にこの本からいろんなケースを見ることが出来、それもひきよせの法則からみてもきちんと合致していることがわかるような内容となっています。てなわけでこの本も結構おもしろかったです。

●「壊れゆく地球 気候変動がもたらす崩壊の連鎖」 スティーヴン・ファリス 藤田 真利子訳 ★★
気候変動系の本で訳本です。訳の質はかなり悪かったです。が、このような気候変動の論議に良くあるような、なにからなにまで気候変動のせいに見せようとするような論理の飛躍がだいぶ気にかかりました(取り上げられている章のほぼ半分以上がそれでした)が、それでもまぁこの本が伝えようとしている、現地レベルでの気候変動の影響、という目では一読には値すると思います。

●「断る力」 勝間 和代 ★
日本に帰ったときにぱっとみて気になったので購入したのですが・・・。また後悔。アマゾンの読者批評にもありますが、なんか彼女の文章って人間味が私には全然感じられませんねぇ。特にこの本の文章は非常に雑で、本当にパソコンで打った、印刷した、というレベルの文章。具材はまぁあるんだけどダシが全然ないスープ、そんな感想でした。彼女の本はもう買わないことにします。ファンが多いのはわかりますが、私とは合わないようです・・・。

●「チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る」 大河内 直彦 ★★★★
これは秀作です。すばらしい。気候変動という一つの科学分野ができてきた工程を事細かに、そして素人でもわかるように説明したものです。気候変動と一口にいっても、それがなにをもって「実証」されてきたのか、どのような科学的(そして気候変動ではより”化”学的)な発見がいまアル・ゴア、IPCCなどの発表、グラフなどに反映されているのか、がよくわかります。

といってもこれは地球地質学と気候変動学との境目・移り変わりを描いた本、ともいえるので、気候変動そのものについて詳しく書かれているわけではなく、それよりも気候変動という存在がどのような地質学の発見をとおして実証されてきたのか、が描かれています。この分野にすこしでも興味のある人は必読と思います。すばらしい。

●「
The Sion Revelation」 Lynn Picknett Clive Prince ★★★
これは「Holy Blood, Holy Grail」(邦題は:レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説)と並んでもうひとつのダ・ビンチコードの種本の作者として有名な研究者の最新作です。この本の主題は(ダ・ビンチコードで一躍有名になった)「Priory of Sion」(シオン修道会)という秘密結社は実在するのか、というものです。始めの100ページは面白かったのですが、後半からはちょっと細かすぎる説明はかなりいただけなかったですが、結論に至るまでの推論はまぁなかなか面白かったです。

結論はというと、このシオン修道会は実在しませんし、ダビンチコードで描かれたイエス・キリストの血統、という話もでたらめ、というものです。でもミッテラン大統領時代には顕著なシオン修道会を表の顔として使っていた秘密結社の哲学、活動がEU統合の礎となった可能性が非常に高い、とのことです。興味のある人はどうぞ。

オーディオ本リスト

はい。わけのわからない中川大臣エントリーからはや二ヵ月半がたちました。まったく更新できてませんでしたね・・・。この間バンコクでは皆さんも見聞きされたと思いますが、タクシン派の暴動が起こり、ちょうどまたそのときがチェンライからの帰りの日だったので夜に戦車(間近ではじめてみましたわ)や機関銃をもった兵士(これはでもまだ現在も残ってますが)がうようよといる中をタクシーを2台乗りついでAPTに帰ってきました。同じAPTコンプレックスに住んでいる同僚からは電話で今まさに外で拳銃で打ち合ってる、とかかなり非現実的なコメントを繰り返していた(といってもほんとだったのですが)のでちょっと心配しましたが、なんとか僕が帰る頃には暴動は収まっていたようです。まぁよかったです。でもいろんなタイ国内で発禁処分となっている記事(これとかこれとか)を読んでると、まったくもって今日明日で解決するはずのない根っこがかなり深い問題だと部外者ながらにも感じますね・・・。

で、いつもどおりにあまり書くネタがありませんが、最近またオーディオブックを購入しだしてきています。これはちょとしたハードウェアの理由があるのですが、というのも使っているiPhone、これはこれでほんとにすばらしいガジェットなのですが、まだBluetoothで変なぽっちを装着しなくては音楽がまだ聴けなく、そしてStop/Pauseのためにいちいち本体を出してしなくてはいけないためにかなりめんどくさいなと感じておりました。でも2ヶ月ほど前にiPhone用のShureのマイクを購入して使ってみた(個人的にShureのSE310を使用してます)のですが、ボタン一個でiPodの呼び出し、再生ができるために本体はずっとポケットに入れたままでの操作が可能になったことで非常に音楽が、そしてオーディオブックが聞きやすい環境になったことが原因です。

そしていつものAudible.comにて買い物を進めてきてます。定価が40ドルほどでも月々の購読をしていれば一冊10ドルほどですむのでかなりお買い得です。もちろんアメリカにいたときのように中古のオーディオCDをアマゾンから購入してMP3に落として直後に売るという作業では一冊それこそ2,3ドルで読めるのでそれを多用してたのですが、アメリカから離れてからの今はこのAudibleが最安値の選択肢となりますね。

ということでんでまた改めてオーディオブックの便利さに感嘆しております。APTを出て職場に着くまでが片道30分で、往復で1時間、本を「読め」ます。再生スピードも変えられますので、比較的長編でも結構1週間強で読める感じですかね。なので最近重宝しております。この2ヶ月くらいで「読んだ」オーディオブックは:

● 「Outliers」 Malcolm Gladwell ★★★
結構面白い。いかに天才、成功者といわれる人物でも、その周りの環境、つまり時間、歴史、地理、文化や生来の要素などが非常に大きな影響を与えているのである、という骨子のノンフィクション。ああなるほどねぇ、と思わせるところが多かったです。

作者は(いろんな外的環境要素がほんとに成功に与える影響が強いために)なので成功といっても実は自分がコントロールできない部分がほんとに多いですよ、世界はそこまで努力=成功となんてならないのですよ、というような結論の持っていき方だったのですが、個人的なこの本のとり方は、「個人の差はあまりなく、成功というのはほんとに誰にも可能性がある」という、作者の意向とは逆の、非常に心強い印象を持ちました。

これもまたちょっと引き寄せの法則、っぽいですが、要は自分のいる状況をプラスだと真に受け止めてそれに呼応して実行しつづける、というある種の「消極性」(自分ではコントロールできないさまざまなことがある、とする絶対認識)、そして「積極性」(それらの内外的状況を是とし、その現象の是非、善悪の余地を残すのではなく、常に「今」から将来のベクトルに向かって価値を見出していく)のミックスで人は生きていくものだ、という自己啓発によくある教えに帰結するように感じました。ああ、みんなやっぱり一緒なんだ、そしてだからこそ自分単体で森羅万象をポジティブに定義し、それを是として前に向いていく、という生き方が大事だと再確認した次第。

● 「Zahir」 Paulo Coelho  ★
うちの同僚から薦められて「読ん」だのですが・・・、なんじゃこりゃ。アルケミストは私のトップリストに入るのですが、これはちょっと・・・。その同僚が一度離婚を経験しているので彼には響くものが結構あったのでしょうが、私にはまったく響きませんでした。ストーリー設定もまぁいいたいことはわかるのですが、勝手に何も言わずに二年前に失踪した妻が「実はアナタを愛していた・待っていた」と言われてもまったく自分にはピンときませんでした・・・。アルケミスト以外の彼の作品はこういう似たようなものなのかもしれないとふと感じた次第・・・。

● 「Freakonomics」 Steven D. Levitt & Stephen J. Dubner ★★
卒業生の端くれとして、当時何回か授業を受けたLevitt氏のベストセラー。この本の名前は聞いていましたが、まさかかなり身近にいた人だとは思っても見ませんでした。読みましたが、これでも経済学かい?というのが私の印象。これはどちらかというと社会科学・統計学的なような気がします。まぁそういうくだらない線引きには彼もまったく興味はないでしょうが・・・。相撲の「八百長」「出来レース」の話はしかし、1チャプター全部使わなくても直感的に当然だろうとは思うのですが、まぁそこらへんは科学者、ということであくまで数字でそれを証明しようとしています。でもなんといっても視点がユニークなのでまぁまぁおもろいです。

● 「Hot, Flat and Crowded」 Thomas L. Friedman ★★
「オリーブの木とレクサス」、「フラット化する世界」でおなじみのフリードマンの最新作。あいかわらず鼻にかかる彼独特のバイアスは健在ですが、それでも読み応えはありました。この本は450ページある長編で、これはたぶん普通に本で読んでいたら読破することはないような長さです。オーディオブックでも20時間という長さのファイルでありましたが1.5倍の速さで再生して読み終えました。

この本は要はいかにして地球における再生・省エネルギー技術の最後のフロンティア(!)、アメリカがかわっていかなくてはならないのか、ということを彼独特の世界各地からの声、出来事を載せて伝えてある力作です。この作品ではいかに現実的に、
再生・省エネルギーの勃興をアメリカの大衆・政治家・企業家の間ではじめることができるのか、ということが結構詳細に書かれています。

もちろんフォーカスはアメリカ、アメリカ、ですのでそれにあまり興味のない人はかなりつまらないと思います。でも例えばいかにアメリカを始めとする国々がオイルに使っているお金がサウジの懐に入り、その金でサウジアラビアは:
(1)世界のムスリム人口の1%にも満たないにも関わらず世界の95%のイスラム原理主義の教育復興に携わっている(発展途上国、そしてODAが手を出したがらない、出さない世界の箇所で無料で教育施設を作り続けている。例えばパキスタン、そしてアフガニスタンではサウジ政府は3万4千以上の学校を建ててきており、その(とくに貧困層に与える)思想的な影響はものすごいものがある);
(2)エジプトの映画産業の90%の資本を出しており、エジプトのムスリムテーマの映画における表現への締め付けが非常にきつくなっている
などの点を指摘しています。彼のポイントはアメリカが自分で自分の首を絞めている(イスラム原理主義から連想される世界の不安定を導き出しているのは彼ら自身である)という点です。

あとこの本を読むといかにブッシュ政権のエネルギー(無)政策が昨今アメリカのビッグスリーの自動車会社の状況を引き起こす遠因となってきているのかが非常に鮮明にわかります。

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以上がこの2ヶ月で読んだオーディオブックです。オーディオブックのいいところは色々とあるのですが、
(1)移動・家事などの時間を有効に使える
(2)一定のスピードで読むので、目で読む時に比べて圧倒的に読む量が多くなる
(3)声での情報のインプットとなり、脳に直接入ってくるイメージ(個人的な見解)
(4)少々眠くて目を閉じていても十分に「読める」余裕がある

らへんでしょうか。目で読むといつのまにか文字の表面を読んでいるような気になる(集中力がさがる)ときがあり、また読み直すとか、またそうならなくても読むスピードが一挙に遅くなったりしますが、(2)のおかげでそれはなくなります。またこれは個人的ですが、耳で聞いたほうがなんか直接脳に入っていく気が個人的にはしています。あと(1)で家事とか移動とかの時間にしこしこと本を読み進んでいけるわけでまさに一石二鳥、というものですかね。

ひさびさの読書リスト投稿

読書関連の投稿をするのはこれまたすごく久しぶりなような気がします。最近読んだ本とその一行感想(あれば)は以下のとおりです。洋書の割合がどっかり減ってしまっていますね、これはいけないことですが、まだまだ英語は日本語のようなスピードで読めない(まぁ当然でしょうけども)というのがありますが、でも意識的に読みはじめないと、とおもう今日この頃です。でも10月に博士過程が終ってからやっと自分で選んだ本が読める時間がでてきて、嬉々としてくだらない本を読んでしまっております・・・。

読んだ本のドライなリストを書く前に特別扱いとして、とある著者の本がすごくよかったので紹介させてください。著者は松本仁一という、朝日新聞の元記者の方の一連の本なのですが、これが非常にすばらしい。地政学、平和構築、軍事学等などのテーマの書籍は大上段に立ち、非常にドライな書かれ方で、例えば理論・潮流の説明、そして1つ2つの実際の現地レベルの出来事が添えられる、というレベルがほとんどだと思うのですが、彼の書籍はその割合が完全に逆転しています。著作の8,9割以上が現地の、村、家族、そして個人の言葉、出来事、考え、感情が綴られ、その生きた一つ一つのブロックを集めて一つのモザイク模様にしていく、そしてそのモザイク模様のあとに添えるようにして地政学などの大上段の理論・趨勢を説く、というものです。

彼の著作、

●「アフリカ・レポート—壊れる国、生きる人々」 松本 仁一 ★★★★ (5つ中)
●「ユダヤ人とパレスチナ人」 松本 仁一 ★★★★
●「カラシニコフI」 松本 仁一 ★★★★
●「カラシニコフII」 松本 仁一 ★★★★
●「アフリカを食べる・アフリカで寝る」 松本 仁一 ★★★

はそれぞれが秀作です。個人的に一人の著者から1冊以上の本を読むことはほとんどないのですが、最近の帰国時に読んだ「アフリカ・レポート」でちょっと感動を覚え彼の作品をすべて購入して読みました。日本にもこういう人がいたのかと思うとちょっとうれしくなるような感覚を覚えました。

教科書に書かれてある大上段の理論・趨勢ではなく、生の人間の匂い、そして喜怒哀楽を彼の作品を通して体験することで、世界の色々な社会情勢を知る為の、地に足が付いた考えの機軸ができていくような気がしました。彼の作品はすばらしいです。お勧め。

ではそのほかの本のリストと星です。

●「スティーブジョブズ・神の交渉力」 竹内 一正 ★★ 
元アップル社員の、ジョブズの自伝的な文庫本。これを読むとジョブズのエゴイストさに驚かされる。EQのレベルで見ると彼は本当に未熟な人間だと実感。でもそれくらいのEQの低さがないと、あれだけの妥協がない、使用感・デザイン性が独占する技術製品は作れないんだろうなと、これまた実感。

●「本質を見抜く力」 養老 孟司 竹村 公太郎 ★★
うーん。座談会。

●「ドキュメント 戦争広告代理店」 高木 徹 ★★★★
これはすばらしいです。前から気になっていた本なのですが、やっと機会があって読みました。いかにPR・広報戦略が現代の紛争・戦争時にものすごい威力を発揮するのかがこれを読むと本当にクリアにわかります。おすすめ。

●「読書は1冊のノートにまとめなさい」 奥野宣之 ★★
これを読んでちょっと実践してみましたが・・・ふむ。ここまで僕はマメではないです・・・。ちょっとずつ続けられれば、と思いますが・・・。

●「隠された聖書の国・日本」 ケン ジョセフ ★★
要は日本の中の景教(シリア周辺から派生した異端とされたネストリウス派のキリスト教)の影響についての本。空海が景教から受けた影響は甚大である・仏教という、なんでも吸収してしまう性質の教えが影響している・隠れ切支丹の証拠はいろいろな権力者の(例えば桂離宮とかの灯篭とか)層にも食い込んでいた、などの内容。こういう系の本はかなり読んでいるので、おったまげる内容はなかったです。

●「息の発見」 五木寛之 ★
駄作。会談のおしゃべり以上の粋をでず。もっと突っ込んでほしかった。

●「養生の実技」 五木寛之 ★★
うーん、「息の発見」でがっかりした後に「実技」と書かれていたからなんか実践的ななにかが書かれてあるのかなと思いましたが、五木寛之氏のようは長年の(自分の健康に関する)試行錯誤、心の覚悟に関するエッセイ、といったレベルでこれといって開眼させられる内容はありませんでした。でも彼の考えは(すべてではないですが)結構霊性な軸に沿っていると感じました。いろんな人生経験を経られて届いた実践法・思考法が霊性に基づく考えにとってもやはり合点のいくものである、ということが見えて、そういう面では面白かったかも。

●「史上最強の人生戦略マニュアル」 フィリップ・マグロー 勝間和代 ★
いま大人気の勝間氏の訳本ですが・・・、訳の質がかなり参ったレベルで悪かったです。これならば(自分の座右の書でもある)「A New Earth (邦訳版)」や「Law of Attraction (邦訳版)」で物事、(思考・感情の)エネルギーについての根幹を学ぶほうがよっぽどいいと感じました。あとこの本が言おうとしているところがどうも心理学を出発点、そして限界点としているために、現世の、その場しのぎの行動・思考推薦リスト、と化していると感じました。まぁでもこの程度が魂や霊性のテーマにタッチしないレベルで語れる限界か、と思います。内容が回りくどい。まとめようと思えば50ページで十分の作品(実際は408ページ)。

●「邪馬台国発見」 権藤 正勝 ★★★
日本で元FBI超能力捜査官として有名な透視ができるマクモニーグル氏の力を借りて邪馬台国に関するなぞを解く、という軽く読むにはすばらしく面白い本。あまり日本古代史に興味・知識がないのですが、それでも結構楽しめました。

●「失われた大和のユダヤ王国」 中原 和人 松重 楊江 ★★
渡来人、特に秦氏などを中心とするユダヤ系の古代日本における歴史に集中した本・・・かと思いきやこの著者と彼を取り囲む学者の(彼らが主張する"本当の"日本史の)主張がだらだらとなんの注釈もなくかかれてある内容でした。彼のほかの本も読まないといけないのかしら、と感じる。

●「効率が10倍アップする新・知的生産術」 勝間和代 ★
勝間氏の本。ここに書かれてある内容はほぼすべて前から実践していたことなので特に驚きがなかったです。

●「知の起源—文明はシリウスから来た」 ロバート テンプル ★
地球のシリウス起源説の本。近代天文学でやっとわかったシリウス星のもう一つの星の存在を何千年も前から神話としてもっていたアフリカのドゴン族から始まり、いろいろとシリウス文明(半魚人)起源説についてかかれたあるが・・・ちょっとはしょりすぎ。かなり読みにくい。

●「ウェブ時代をゆく」 梅田 望夫」 ★
印象あまりなし。

●「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」 山本ケイイチ ★
へぇ。 

●「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」 丸山茂徳 ★
昨今の気候変動の世論に関して個人的な憤りを感じている学者の作品。もうちょっと前半の内容のようにしっかりと科学的な反駁を行ってほしかった。前半はよかったのに全体的に個人的な憂さ晴らしの内容に感じた。理性をうしなってはいけません。

●「石の扉—フリーメーソンで読み解く世界」 加治 将一 ★★
フリーメーソンのメンバーである日本人著者が書いたメーソンの歴史、影響力の本。まぁまぁ。

●「私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる 」 齋藤孝 梅田望夫 ★
印象あまりなし。

●「あやつられた龍馬—明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン」 加治 将一 ★★★
これ結構面白い。話的にも非常に信憑性がある。

●「惑星の暗号」 グラハム・ハンコック 田中 真知 ★
グラハムハンコックの初期作品。総じてあまり。ダイナミズムがない。後半で彗星をヒンドゥー教や古代のメソアメリカの神そのものに例える説には賛成しかねる。惑星そのものが神格化された、というほうが理解しやすいのでは、と感じた。

●「インテリジェンス人間論」 佐藤 優 ★
彼の著作はなんだかんだいってもう8割くらいは読んでる気がするが・・・もうなんかちょっとさすがに飽きてきた。「国家の罠」「自壊する帝国」は本当に秀作だったが、あまりにたくさんの著作を短期間で出しているせいか、かなり他の本で書かれた話が多すぎる。二番煎じ・焼き直しの感が否めない。

●「社長の手帳」 佐藤 満★
あまり。飛びぬけるような感がない。

●「グーグル—Google 既存のビジネスを破壊する」 佐々木 俊尚  ★
あまり。

●「二人で一人の明治天皇」 松重 楊江 ★★
南朝系の、長州に存続していた大室家の子孫が明治天皇に'すりかわった'という陰謀説の本。「一人の著者の本」と呼ぶにはおこがましいレベルの、あまりに大量でそして多くの種類の引用文によって集められた'書かれた'本。この本の編集部の意図がまったくわからない。言いたいことは面白そうで結構信憑性もあるのだが、その表現のしかたがあまりにばらばら。まとめなおしたらもっと面白い本になっていたのに、と思う。でもこの陰謀説はそれなりに面白い。北朝系ベースの京都には都が帰ってこないわけ(?)がちょっと見えた気がした。四条大橋の下にあった(ある?)秘密の屋敷の入り口を次に帰ったときに見つける、と決心するにいたる。

機内読書リスト

(現在博士の最終発表用のPPTをPDFに直している最中ですがあまりに時間がかかっているので・・・)

最近読書で方針を変えたことがあります。それは、飛行機の中では日本語を読もう、ということです。前まではまぁ英語の簡単な小説(ハリーポッターとかマイケルクライトンとか)を読んでいたのですが、やっぱり日本語のほうが圧倒的にエネルギーを使わないで読めるので、疲れやすい飛行機中にはもってこい、ということで先月の移動中はせっせと日本語の読書に努めていました(おかげで最近は飛行機移動が楽しみになっています。時間に対する罪悪感がなく、気兼ねなく読書ができるので)。

あと、英語の本をなるべく読もうとは意識的にいままで努力をしてきたのですが、ここにきて「日本語になっている本があればそれはもうそれで読んでしまおう」と思うようになってきました。理由は簡単で、同じ情報の取得に費やすエネルギーと時間が4,5倍早いから、というだけの理由です。今までは英語にしておいてやっぱり英語に慣らしていかないと、と思っていたのですが、まぁそう硬いことをいわずに、という心境になりました。

以下、あまり価値のないコメントをがらがら書いてみました(あーそれにしてもはやく自由に読書がしたい・・・)。

★★★★
・小泉官邸秘録
いかに小泉政権が、官邸主導で今までの内閣とは一線を画していたかが伝わります。飯島秘書官がどのような体制で小泉氏を支えていたのか、官僚を使う、というのはどういうことなのか、情報統制・コントロールの仕方、という面でも非常にリアルです。こういう野心のなく、かつ抜け目のない秘書官をして小泉長期政権が実現したとも思えるくらいです。秘書官という女房役がしっかりしていないと安部さんのときのようにぼろぼろとおこぼれや弛みががでてきてしまう、というのはこの彼の作品を読んでいて良く伝わります。使う方(官邸)、使われる方(官僚・政治家・企業家・国民)の両方がそろわないと逆効果になるとは思うのですが、この官邸主導というのは、実に官僚的に窮屈な現代日本には一つのロマンのようなものを感じさせてくれます。

・構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
彼がいなくては所謂小泉改革のほとんどが日の目を見ていないということがこれを読むとわかります。ThinkとDoとの違いはここまで大きいのか、という感想。「戦略は細部に宿る」とは著者が繰り返し強調してますが、権力を授かった一流学者の凄みを感じさせるには十分の内容です。理論と実践というのが常に(政治という非常にバイアスのかかった網で覆われてますが)交わり続けているアメリカの醍醐味・興奮度を間接的に感じるとことができました。アメリカのWest Wingの大統領みたいな印象を受けましたが、こういう(彼のような例は)まぁもう二度とこないのでしょうね。

・巨像も踊る
これはかなり読み応えがありました。当時のIBMと今の国連(失礼)とはかなり似ているところがあり、IBMとして描かれている社内の様子がかなり国連の内部と酷似していました・・・。特に第26章のまとめのところは大きな官僚組織にもまんまに当てはまる、そして非常に役に立つコンパスとなる内容でした。

★★★
・白州次郎 占領を背負った男
ちょっと一周遅れの今頃読みましたが、おもったよりも非常にこの人物のことを等身大でかいているな、という感じがしました。かっこよく着色しようとするといくらでもできるのにそれをあえてしなかったな、という感覚さえ持ちましたが、それがかえって好印象でした。ということで自分にとっては地味な白州次郎論。

・反省 私たちはなぜ失敗したのか?
あまりに実名がでてきて実名を出されている本人たちには恐ろしいような内容がのってますが、まぁ「自己保身」と称される官僚の動向はとくに驚きはなかったですが・・・。

★★
・ウィンザーホテル洞爺 夢のホテル

・NGO、常在戦場 

・ウェブ時代5つの定理
私も一年未満ですがベイエリアに住んだことがあるので梅田さんが繰り返して言うシリコンバレーの精神、というのには結構懐かしい思いがします。もちろん当地に実際にすんだわけではないけどもアメリカのなかでももっと特殊な文化圏としてのベイエリアというのがあるとおもいますが、その精神の蒸留を具現化したような人々でごった返しているのがシリコンバレーなのだな、とひたすら感じます。

★
・リッツ・カールトンで学んだ仕事で一番大事なこと
へぇ世界のリッツの支店ではこういうこともやってるのね・やろうとしているね、という程。

・集中力

・実録 小泉外交
これは打って変わって全然よくなかったです。まぁ日記と思えばそれまでですが、まぁちょっと外遊の裏側がすこしだけ・・・という内容でした。

・なんとか会社を変えてやろう

・グーグル・アマゾン化する社会
まさにグーグルを使えばかけるような非常に表面的な話がちりばめられている本。フリーランスとしてまぁがんばってネタ探して書こうとしたのね、という感想。梅田望夫氏の著作に比べればまったくの付加価値なし。