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The Weather Makers

●「The Weather Makers」 by Tim Flannery ★★★

オーディオブック。オーストラリア人の科学者で結構高名(らしい)なTim Flannery氏の本。気候変動の分野では必ず紹介されている本なのですが、実は3年前くらいに購入していたにも関わらず、なかなか読む機会がなくいままでほったらかしにしてました。が一念発起?してオーディオブックを購入して読みました。

オーディオブックってホントに不思議な感じで、読むスピードは普通の人が読むスピードなのですが、やっぱり一定スピードで読み続けてくれるということと、どっかり座って本を読まなくていい(いろんなそのほかの時間を有効に使える)ということで、時間だけを見たらこういう本でも10何時間で実際にたとえ読むスピードが遅くても読めてしまうはずなのですが、どうもやっぱり読みきるのに時間がかかってしまったり、もしくは読み終えることすら結構億劫という悲しい現実が通常の読書にはあります。(あと仕事で常に接しているトピックなので私的な時間まで仕事関連の本を黙読したくはない、ということもあるかも、しれませんが・・・。)

ともあれこの本は以前紹介した「チェンジング・ブルー」の英語版、ともいえるかもしれません。気候変動というのがどのように解明されてきて、そしてそれがどのような規模、速さ、場所で、どんなインパクトを(特に生物多様性に)与えてきているのかについて書かれています。「チェンジング〜」が地質学者からの視点からかかれた本であれば、これは生物・生態学者からの視点で書かれた本だといえます。

ただこれは個人的な考えなのですが、アメリカで教わった生態学ではKeystone Speciesというような、一つの生態系に対して"中心的な"役割を持っている種を、例外的な重要性をもつという形で特別視し、集中的に保護するべきだ、という考えがあるのですが、どうもこの考えには欧米人が実は非常に興味のある優生学の匂いがちらついている(分類学も同じような匂いがしますが)ようにも感じられ、昔からとっつきにくかったのですが、それと同じような感覚をこの本を読んでいて覚えたことは確かです。

人類が犯している'善悪'に大きい小さいも存在せず、ただただ個々人の周りに存在する森羅万象のなかに、所謂'善悪'という、相反するエネルギーが発現しているということ、そのエネルギーと観察者・当事者である個人との一つ一つの係わり合いの全てが重要なのであり、一つの物象を取り上げてそれが他の物象よりも重要だ、重要ではない、という考えには賛成しかねます。

全体的にあんまり印象には残らなかった本でしたが、時々おぉなるほど・・という部分もあり、そういう部分では読んでよかったです。

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